フィールドレポート・横浜girl vol.1 後編
某平日 横浜 22:00
senapinoは名前も知らない女の子と歩いていた。
ーほんとに今日初めての横浜なんですか?
そうそう、ホテルに荷物預けたから、こんなに身軽なわけ。
そのホテルさ、じゃ◯んで予約したんだけど、行ってみてむっちゃ驚いたんだよね。
堂々としたラブホだったわけ。
なんでラブホにシングルベット置いてあるんや!
ー笑笑
いちおう、あの有名なじゃ◯んやぞ?
これが横浜の闇か、って思った笑笑
君は横浜に住んでるの?
話をしながら歩いていると、キャッチに話しかけられた。
ー飲み屋どうですか?
ビール1杯だけでもいいですか?
ー大丈夫ですよ!
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャッチ。copyright - ikasui
しまった。
正しいルーティンを、間違った状況で使ってしまった。
やはり武器が錆び付いている。
このルーティーンは、直カラしたい時に個室グダを発生させる隙を与えないため、また平行トーク中にグダを発生させずに連れ出すために使う。
飲み屋への連れ出しがオッケーだったのに、なんで飲み屋のキャッチにひっかっかるんだ。
気が変わったと言ってキャッチについていくのをやめてもよかった。だが、連れ出しのスムーズさにこだわって店に入った。自分にため息が出た。
乾杯。
てか、オセロみたいな服きててるな!白黒白黒!
ー違いますよ。
ん?まさかの囲碁?
ー違いますって。
ああ、チェスか!やっとわかった!
話をしていて、ずっと違和感があった。
笑いの要素を入れても、無反応のことが多い。
たまに楽しそうに笑うが、和めているのかはわからない。
質問をし、恋愛の話題を引き出しにかかる。
即系なのか?
それを見極めたかった。
22:40
いったん店を出ようと言い、会計をし、店を出る。
彼女は、最近彼氏と別れたばかり。周りの友達には、自分を大切にしなよと言われるらしい。
senapinoは即系と判断した。
コンビニで一緒にお酒を買いホテルに行く流れを作ろうと思い、会計をする。
だが、店を出るときに会計の半額を渡してくる。
え?君は即系だろう?会計なんて払うのか?
どうしても受け取って欲しかったようなので、受け取る。
財布から目をあげると、彼女は先に歩いて行ってしまっていた。
...やばい、空気が変わったのか?主導権がsenapinoにない。
なぜ?和みきれなかったから?いや、店を出るまでは彼女と和めており、senapinoに主導権があった。
お金を受け取ったから?外に出たら帰りたくなった?わからない。
彼女を追いかけた。
そんなに早く歩けるんだね。オリンピック終わったタイミングで競歩始めるの?笑笑
ーいや、家に帰るだけです。もう終電なので。
んん?もうちょっと一緒にいよう。終電はまだでしょ?
ー明日バイトなので。
俺も明日、就活だよ?
ーそれ本当ですか?っていうか、
ーお兄さんの目的って、なんですか?
俺の目的は、nicoさんのような大人になることだよ、と答える場面ではないだろう。
この状況では、この子とどうなりたいかだ。
決まっている。セクだ。俺はsenapinoとしての目標を達成したい。
この子は即系だ。答えは決まっている。
君と、ホテルに行きたい。
ー笑笑。正直に言っちゃうんですね。
本気でそう思ってるからね。君は、可愛いから。
ーその手には乗りませんよ。
senapinoは、主導権を取り戻しつつあった。彼女の次の言葉を聞くまでは。
ー私にじゃんけんで勝てたら、なんでも言うこと聞きますよ。ただ私が勝ったら、このまま帰ります。
じゃんけんをするという行為は、主体的か?
α-maleならこのゲームに乗るか?
seanpinoは、じゃんけんをしたくなかった。こんなの主体的ではない。キャッチについていって飲み屋に入った時から、主体的でないのは今日2度目になる。
彼女の意思は固かった。ちゃんと、じゃんけんで彼女の行動を決めるというゲームをしようとしていた。
ああ、俺もゲームをしている。ニール・ストラウスが世に広めたゲームだ。
しょうがない。ナンパは確率のゲームだ。50%は高いだろう?
asapenさんの理論でも、連れ出しから即までの移行率は50%だった。
すこしの時間まぶたを閉じ、mimd を整える。
さあ、ゲームを始めよう。
じゃん、けん、ぽん。
0:30
靴擦れの跡が痛い。
シャワーがしみる。
宿泊客が2人になったなら、ダブルベットの部屋を用意してくれてもいいのに、と思う。
だってここ、じゃ◯んにも登録してあるラブホでしょ?
そういえば、彼女が店をでたあと帰ってしまおうと思ったのは、終電が終わって帰れなくなるまでまで飲ませなかったのがムカついたかららしい。確かに、そうやってホテルに誘う方が自然だ。
ま、でも、そんなこと知らない。今度こそは、主体的に即してやる。
もう少し待ってて、まだ見ぬ次の、横浜girl。